かつてフレグランスハラスメントの主な悪役といえば、もっぱら“香水”でした。

しかし、すべてがそうだと断言はしませんが、男女問わず香水の匂いをプンプン振りまくのは「限定された職種」の人に多い気がします。

夜の繁華街にいって水商売の人や、昔でいうところのカタカナ仕事、アパレル・マスコミ関連の人たちと接することがなければ、「香水プンプン」に出会う確率はかなり少なくなるのではないでしょうか。

飲食店やスーパーなど、「香水」を禁じる職場も多く存在しますし、近隣で日常生活を営むのにつねに香水プンプン、という人は皆無ではないでしょうが、けっして多数派ではありません。

しかしながら、これが「フレグランス柔軟剤」となると、使用が限定された人種、というわけに行かないのです。

運動会シーズン、汗・ドロまみれになった体操服を毎日洗濯するお母さん。汗や皮脂の匂いを気にして、いつもより大量に「フレグランス柔軟剤」をつかうことは想像にかたくありません。

フレグランス柔軟剤を大量につかった体操服を着た子どもたちが、さらなる運動会練習でたっぷり汗をかくことによって、「汗に反応してさらに香る!」を謳っている柔軟剤が香りまくっているであろうことは、…これまた想像にかたくありません。

マンションなど集合住宅で暮らしていると、左右前後のご家庭から、異なる非常にキツい「フレグランス柔軟剤」の香りが漂ってきて、使わない派のご家庭を苦しめるという事例もあります。

「フレグランス柔軟剤」を香らせすぎるご家庭では、「周囲の人に汗臭い、と言われないため」清潔志向、エチケットのためにやっているのですから、「匂いでアタマが痛くなるから!」と否定することはあまり現実的ではありません。

汗臭さと、フレグランスとどっちがいいのか?と尋ねたら、「汗臭いよりは、フレグランスの匂いの方が当然清潔感があるでしょう?」と答える人が多数派であるとも、今の世の中では言い切れない。

確かに、汗臭いことを「不潔」を敬遠する人は少なくないとは思いますが、「それを香りでごまかすなんて、もっと不潔!」と考える人もいるからです。

問題は「フレグランス柔軟剤」がとてもポピュラーな存在になり、使うご家庭が増えた、ということにまるのではないでしょうか。

「フレグランス柔軟剤」を好んで使用するご家庭のほとんどに“我が家のお気に入り”的な香りがあり、それを毎日使用することで、家族は匂いに慣れてしまい、好みの香りを自身がよりつよく感じたいために量の使用が多くなる…。

結果、つよすぎる匂いで周囲に迷惑をかけているのでは、と推測されるのです。

私のオススメは、「匂いを変えること」。どんなに気に入った「フレグランス柔軟剤」の香りであっても、ときどきは使用をやめてみるか、あるいはまったくちがった香りの柔軟剤を試してみる、ということです。

「フレグランス柔軟剤」はお試し用の小瓶で買うより、大容量パックを買った方が経済的で、詰め替えパックを購入し、ボトルを再使用すればさらに経済的ではあるんですが、それこそが「使いすぎ」の理由のひとつ。「たくさんあるから」と安心して使用量が多くなりがちなんです。

なんらかの事情で「フレグランス柔軟剤」の使用をかなり長期間やめていたとしても、周囲の人には、その「ご家庭の香り」として匂っているという話をよく聞きます。

むしろ、そうしたかすかな残り香の方が、「フレグランス柔軟剤」を使いすぎていることよりも「清潔」と思われることが多いのです。

自分では気づかない、あなたの「フレグランスハラスメント」。家事習慣から見直してみませんか。