前項では古今東西でとくに人気の高い香り、フローラルノート、シトラスノート、グリーンノートについて調べてみました。

次にご紹介するのは、三大人気香水の次点ともいうべき、フルーティノートとウッディノートです。

シトラスノートはおおまかにはフルーティノートの中に含まれますし、グリーンノートは草や葉のイメージですが、自然の香りとしてはウッディノートのベースとなる樹木の香りにも類似性・共通性があるような気がします。

しかし、果実にしても、樹木にしてもその匂いをシングルノートとして単体で楽しむというよりは、フローラルノート、シトラスノート、グリーンノートなどのアクセントとして使われていた方がより個性が際立つ香料なのではないか、と思います。

シトラスノートのところでご紹介したグレープフルーツ単体の、シングルノートともいうべき香水はかなり例外に近いものではないでしょうか。

トイレの芳香剤や、ティーン向けの安価な香水などでは、たとえば「イチゴのかおり」「ピーチのかおり」といった果実単体の香りを表現したものがよく売られています。

たいていの場合、合成香料を感じさせるような香りとなっています。稀に実際の果実に近い香りのものも見られますが、安価なだけに香りの深みはないような気がします。あれらをシングルノートと言い切ってしまうには少々無理を感じます。

実際にフルーティノートの果実の香りとして使用される香料にはどのような種類があるのか調べてみましょう。

「フルーティ」と銘打った香水は、ピーチやパイン、マンゴーなどトロピカルフルーツ系の匂いをつよく感じさせることが多いようです。トロピカルフルーツのおもな産出地・南国からの連想でしょうか?真夏や太陽の名前を冠したフルーティノートの香水のほとんどが夏に発売されていました。

昨今では、トロピカルフルーツ以外にもベリー系の香りが注目されています。われわれ日本人が春に食す“いちご”より、濃厚な甘さとつよい酸味の感じさせるブラックベリー、クランベリーなどの香りの人気が高いようです。

こちらのベリー系フルーティノートの香水もおもに夏向きとして販売されています。

対してウッディノートの香水は秋から冬にかけて新作が登場する傾向にあります。

落ち葉や枯れ草の匂い、暖炉にくべた木の実が爆ぜる様子など、真夏によく売られる溌剌とジューシーなフルーティノートは真逆の落ち着いた深みのある香りが特徴のウッディノート。使われる香料にはどのようなものがあるのでしょうか。

ラストノートまで残る持続性の高い香りとして白檀(サンダルウッド)をご紹介しましたが、これこそまさに樹木そのものの香りです。

その他には、イネ科の多年草であるベチバー。根につよい芳香があります。ベチバーの匂いのイメージは「上品」、「高貴」。実際、高級ブランドの香水に頻繁に使われています。

パインの果実は夏向きのフルーティノートとして重用されますが、パインの葉や根には、日本人に好まれるヒノキのように、新鮮な森林を思わせる芳香があります。

ウッディ系の香料は、バニラやムスクなどと合わせることで、女性らしい濃厚で品のある甘さをつくりだすことができるのだとか。

夏のバカンスではフルーティノート、年末年始のあらたまった席などではウッディノートなど、季節によって香水を上手に使い分けて奥深い香りの世界を楽しみたいですね!